私達の豊かな暮らしは様々な工業製品に支えられています。こうした製品の生産工程では、大量の溶剤(揮発性有機化合物)が使われます。溶剤は生体で言う「血液」なのです。しかし、そのライフサイクルは見過ごされがちでした。省資源、環境保全の観点からすれば、年間71万トンといわれる大量な大気放散は許されません。私達は産業の「血液」を浄化・循環するための「静脈システム」を今こそ確立・拡大しなければならないと考えています。
日本溶剤リサイクル工業会は、こうした問題意識をもつ組織、個人が集まり、1994年に設立されました。主に参画しているのは、溶剤リサイクル事業を手がける再生業者ですが、同じ問題意識をもつ組織、個人にも広く門戸が開かれています。行政当局や関係機関と緊密な連携を図りながら今後さらに志を同じくする組織・個人をネットワークし、業界に課せられた社会的使命の達成を実現していきます。私達は「溶剤リサイクル」という側面から、省資源・環境負荷の少ない循環型社会の確立を目指しています。



再生業者は、使用済溶剤を、主に蒸留によって溶剤成分と不純物に分離し、新品(バージン)溶剤同様に使用できるようにしています。
この分離によって、溶剤として再資源化されない部分は非常に少なくなり、結果的に廃棄物の減量化にもつながります。再資源化と減量化-この2つを同時に行なっているのが再生業者です。つまり再生業者は、溶剤という「血液」に対して「腎臓」に相当する役割を果たしているのです。
従来廃棄されていた使用済溶剤を、主に蒸留によって溶剤成分と不純物に分離し、新品と同様に使用出来るようにします。再資源化と廃棄物の減量化により、地球環境および地球資源の保全に寄与しています。

日本溶剤リサイクル工業会は、溶剤リサイクル情報の受発信基地として、あるいは関連する組織や個人の交流拠点として機能します。事業活動を通じて業界を発展させ少しでも多くの廃棄物をリサイクルする事が使命です。
2.溶剤リサイクルに関する関係機関等への提言
3.講演会、工場見学会など会員の情報交換、収集の場の提供
4.その他、目的達成に必要な事業
改正大気汚染防止法の施行により揮発性有機化合物(VOC)の規制がスタートし、昨今、溶剤リサイクルがますます注目されています。当工業会は設立10周年記念企画として各界での学識経験者、企業の第一線で活躍する方々にご執筆いただき「溶剤リサイクルハンドブック」を2006年に出版致しました。
(1)循環型社会を構築するために
(2)溶剤リサイクルおよび周辺プロセスの概要
(3)溶剤リサイクルに必要な物性と試験
(4)溶剤リサイクルに活用できる分離法
(5)装置の運転
(6)溶剤リサイクルプロセス実例
(7)蒸留装置のトラブルとトラブルシューティング
(8)溶剤リサイクルにおける危険性と安全管理
(9)適用法規

A5判、334頁。税込み価格10,000円。